お燗の歴史はとても古く、さかのぼること平安時代に編纂された『延喜式』に(米)(米麹)(水)で酒を仕込む方法や、お燗に関する記載がされています。
● 燗酒が見直されてきた訳
以前は、年輩者ご愛飲というイメージの強かった燗酒ですが、今、若い方を中心に多くの女性にも広まっています。(居酒屋で燗酒を楽しむ女性が増えました)
1 淡麗化から濃醇化へ
地酒という言葉が流行りだしてから10年以上経ちますが、今までの酒質というのが新潟清酒に代表される「淡麗辛口タイプ」で水のごとくサラリとしたものが主流でした。近年、当店取扱の自然酒のようにお米の旨みが強いもの、純米酒に代表される「濃醇タイプ」のお酒に注目が集められています。
自然酒にたっぷり含まれているコハク酸という旨味成分は、温めることによりきわだって美味しくなる酸の一種です。アサリやシジミのような貝にもたくさんのコハク酸が含まれています。たしかに冷めたシジミ汁よりあったかいものの方が美味しいのも納得いきます。お燗に向くのは純米酒のような濃厚のお酒
2 ゆとり
手軽さを追求した使い捨ての時代も終わり、最近では地球環境問題、温かみのあるもの造り、エコロジカルなライフスタイル等に関心が高まってきています。
お酒の飲み方もしかり、燗酒は気に入った酒器で少しずつ味わえます。あたたかみのある陶器の徳利やお猪口で飲むと美味しく感じられるうえ、それら酒器に精神的なゆとりを感じます。燗酒の少々の手間とぬくもりがやすらぎを与えてくれます。
3 健康志向
お酒に対しての健康意識も高まっているのですが、そもそもお酒は「百薬の長」なのです。地元の有機農産物を使い、伝統製法によって造り出されるという地の利を生かした当たり前の生産方法であったはずが、残念ながら近代の合理化主義と大量生産によって、添加物だらけの体に悪いお酒がたくさん出回ってしまいました。
最近の赤ワインブームも、赤ワインに含まれるポリフェノールが動脈硬化を防ぐという理由からですが、日本茶や日本酒にもポリフェノールは含まれています。
日本の伝統文化である「燗酒」は、非情に体温に近い温度でゆっくり飲むことができて、体に優しい飲み方です。お燗に合う酒は純米酒で、原料や製法にこだわった自然酒は大変人気があります。
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