以前、お客様より「常温にて卓上のお醤油差しに入れておいたところ、表面に白いカビのようなものが浮遊していますが、大丈夫でしょうか?。」とのお問い合せを頂きました。
早速、醸造元の井上醤油店 社長の井上祐義様にお尋ねしてみました。
「お醤油の表面に浮いているカビのようなものは酵母菌の結晶(産膜酵母菌)で、人体には害はありません。年輩の方々ならご存じのことと思いますが、昔の醤油や味噌にも当たり前のように見られたものです。この様に酵母菌の結晶が見られることはお醤油が生きている証拠です。」
お醤油やお味噌は、麹カビや酵母菌といった目に見えない微生物の働きによって造られるもので、この様な酵母菌の結晶は大手メーカーの化学合成され大量に製品化された醤油では絶対に見ることが出来ません。従って大手メーカーの醤油に発生するカビのようなものは、腐敗菌で人体には有害のものです。微生物の生育の良い環境で造られた、生命力あふれる醸造食品は、人体には有益で消化吸収等のお手伝いをしてくれます。
この度、ご質問いただいた「井上特選醤油 海の精仕込み」はしぼりたての生醤油ではありませんが、72度の低温殺菌で火入れをしたものですので、保管の状況によっては今回ご指摘いただいたカビのようなものが現れます。少量の場合はそれを取り除いて下さい。恐いのは、お醤油の表面一面に酵母菌の結晶が増えた場合、その上に腐敗菌としてのカビが発生しますので、日光等強い光、高温多湿を避け低温で保存して下さい。夏の間だけ冷蔵庫に入れておくのも一つの方法です。
気になる方は、ガーゼ等でこして80度位の温度で殺菌して低温保存して下さい。少量になったら小さな瓶に詰め替えるのも良い方法です。
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