伝統的な農の構図には、自然エネルギーの使い方が実に巧に使われています。
最近ではほとんど見かけなくなってしまった「肥溜め」の知恵に於いても、今も学ぶべき事が多くあります。
現代のように食文化がでたらめになる以前の人々は毎日、米や雑穀を主食とし、みそ汁にはその土地で育った季節の野菜や山・海の幸を具として入れ食べていました。馬と同じく人の体内でもそれぞれの穀物や発酵・醸造食品は消化吸収され血となり肉となります。
そして体内に於いて発酵を終えたものが糞となり体外に排出され肥溜めに収められました。
伝統的な生命力に富む発酵・醸造食品に潜む菌群が人体の中でさらに別の菌群と調和をとりながら新たな環境を造ります。肥溜め内に於いては、その土地特有の自然の菌群が入り込み、また、新たなバランスを保った菌群となって生まれ変わります。
つまり、肥溜めはその土地やその地域で生きる人間にとって有効なバランスを保つための菌群をつくる培養室の役割を果たしてきました。
人も馬も小動物も、全てが土にとけ込み、大地と共に目に見えぬ菌群達と共生し循環しながら暮らしてきました。 |