ワイン醸造の副産物 その1
 

お客様から

「ワインボトルの底におりがある」または「濁っている」
 (国内産無添加ワイン 白 / ロゼ)

「ワインボトルの底にたくさんのガラスのかけらのようなものがある」
 (イタリアオーガニックワイン 白 / オーガニックボジョレーヌーヴォー)

とクレームを頂いた経験があります。

前者は・・・
見栄えを良くするためにタラファイトなどの化学薬品を使ったり、何度もミクロフィルターにかけて濾過をしてしまいます。しかし、この「おり」にはワインの旨味成分がたくさん含まれているため極端な濾過をすれば薄っぺらな味わいとなってしまいます。

農薬や化学肥料を出来るだけ使わない葡萄にこだわり、昔ながらの醸造をしているワイナリーでは、醸造過程で生まれる極度な不純物除去以外には不自然に処理を施しません。
この様なワインは熟成中に「おり」が生じやすく、
「ワインの花」と呼ばれています。

後者は、ワイン中の酒石酸という成分が結晶化したものです。この酒石酸が出ることでワインがまろやかに熟成していきます。
これもまた、クレームの対象として多いことから濾過等により取り除かれることがありますが、ナチュラルなワインにこだわるワイナリーではこの結晶を取り除いてしまうことにより味が変わってしまうためあえて除去しません。
この酒石酸の結晶は、
「ワインの宝石」と呼ばれています。

また、酒石酸は医薬,清涼飲料水などに添加物としても使われています。

ナチュラルワインであればあるほど、「ワインの花」「ワインの宝石」が生じやすいことは、イタリアでは承知の事として認識されていますが、日本では不良品や品質劣化の目安とみられがちです。

かつての原始的な精製技術のもとでワインの熟成に必要なこれらの「おり」や「酒石酸」を「花」や「宝石」といった表現で珍重する文化も大切だと感じます。

精製技術の発達した現在では、こうした良品も見た目だけで不純物と判断され極度に精製し限りなく純度100%に近いものが良い?的なまさに現代的信仰は、ナチュラルで生命力の高い食べ物には当てはまらないように感じます。

ワイン醸造と戦争が密接な関係にあったことはご存じですか?・・・
 
  

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