井上醤油店  島根県仁多町
 


出雲から車で南下すると、中国山地のほぼ中央に仁多という町があります。仁多牛でも有名な町ですが、この地に江戸時代から醤油業を営んできた古い醤油蔵があります。当店の人気商品である井上醤油の醸造元です。



<微生物と共に育む古式天然醤油>

当店の人気商品である井上天然しょうゆ、手造りじょうゆ、海の精 特選しょうゆ、の醸造元 井上醤油店さんに行って来ました。

 井上醤油店 蔵元 井上裕義さんに案内されて仕込蔵の中に入るとまず目に飛び込むのは、古い大きな杉樽です。その中には、沸々と発酵を続けるお醤油のもろみが寝かされています。

蔵の中を見渡すと、一見、何も知らない人が見ればカビのようなものがたくさん付いていて、この中で食べ物を作るのは不衛生だと思われるでしょう。しかし、これが本来の醸造の姿なのです。微生物が醸すのです。此処では、酵母菌を添加したり、速醸法(醸造を人工的に早める方法)ではなく、あくまでも天然熟成にこだわっています。



人工的に何も変えない、何もしないというのが井上さんの信条のような気がしました。新しく仕込み蔵を建てたり、修理するときでも、現在の有効微生物が住み込んでいる蔵の板などを流用します。1平方センチに約1億2千万の微生物が住み込んでいるからです。ですから、出来ることなら人(一般見学者)は入れたくないと言っていました。







今の味があるのも代々受け継がれてきたこの蔵の有効微生物のおかげです。壊すことは簡単ですが、天然熟成で同じような味を造るには同じだけの莫大な時間が必要です。この時間が醸造にとって最も大切な要素であり、原料、製法以上のウエイトを占めていると言っても過言ではありません。
 
 
蔵の梁に住み着く天然酵母菌等の微生物たち
 






もろみが発酵の際に発する炭酸ガスを逃がすためガス抜きのパイプがさしてある。
 




江戸時代から150余年の歳月に亘り、醤油を仕込んできた大型の杉桶。

今から職人に頼み1つ制作するには約2000万円かかるという。
 
< 人体にとって有効なのは、時間が育む微生物の恩恵なのです >

               時間の短縮が生命力を低下させる

 井上さんが言われた言葉です。速醸法とは時間の短縮です。本来ならば、お醤油として製品化されるまで最低でも24ヶ月かかるものです。それが大手醤油メーカーでは、人工的に醸造を早め、6週間から3ヶ月で製品化してしまいます。その上、醤油らしく?見せるために涙ぐましい!調味をします。しかし、このお醤油も現代人には醤油としてDNAに刻み込まれているのかもしれません。

日本人だけの唯一の調味料であるお醤油は、この井上醤油に基づく醤油造りをしてきました。江戸時代からの伝統醸造を研究し、実践してきた井上さんの努力の賜です。その結果、様々な分析にかけると、活性酸素除去能力が極めて高いことや、そのお醤油を育む場の極低周波が8HZ(人間が瞑想状態に入った時の脳波と同じ値、伊勢神宮や出雲大社などは、8HZを観測できる・・・生命農法 高橋丈夫 著 三五館)を示すことや、マイナスイオンが多量に湧き出ていることなどが数値的に検証されています。いかに、自然の摂理が人間にとって身近で大切なものかを今一度、認識させられました。


<天然熟成=自然に生息する生き物からの贈り物> を有り難く頂きたいと感動いたしました。


 また、麹菌なども、近種交配では、生命力が低下するため、単種ではなく3種類をブレンドし、その年の原料となる米、大豆、麦の状態を見極めながら配合しているそうです。人間が出来ること、自然に託すこと、それぞれの役割を全うし美味しいお醤油が生まれるのです。
 
  



仕込んだばかりのもろみの状態
これが月日が経ち熟成を重ねると下の状態に変化していきます。

その時間、ざっと2年間。

時間の大切さがよく分かります。
 
ふつふつと発酵を続けるもろみ2年もの。色や粒もなめらかに熟成しています。
 
上のもろみを袋に詰めて、この圧搾機で絞り上げます。
出てきた醤油は「生醤油」。

酵母菌や諸成分の生きた醤油です。
 
腐敗や味わいの変質を防ぐため火入れ作業をします。
火入れした醤油のおり下げをして落ち着いてから瓶に詰めて出荷です。
我々の食卓に上がるまでには、最低2年もの長い時間がかかります。

  

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